『幸せなひとりぼっち』(ネタバレあり)

先日、新宿シネマカリテにて”幸せなひとりぼっち“という作品を観てきました。2017年最初の映画館で観た作品だったのですが、早くも自分の中で今年一番の映画になりそうなくらいよかったので、簡単に感想等を残しておこうかと思います。とにかくオススメです!

監督のHannes Holmは、当初オファーを断ったらしいですが、原作を読んでみたところ泣きながら一晩で読み終わり、一転してオファーを引き受けたらしいのだとか。結果として、スウェーデン国内だけでも興行収入20億円と国内映画としてはかなりのヒットだったようです。

参考:How Swedish Bestseller ‘A Man Called Ove’ Became A Heartwarming Hit | CBS Minnesota

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映画のあらすじ

孤独な中年男オーヴェ・59歳・妻に先立たれひとりぼっち。毎朝共同住宅地の見回りを行うのが日課であり、規律に厳しい男として近所では鼻つまみ者扱いされている。妻の墓参りのために花束を買いに行くが、レジでクーポンを使おうとすると「2束買わないと安くならない」と言われ、店員に文句をぶちまけたりと、頑固な姿勢を崩さない。ある日、43年間働いてきた鉄道局を突如クビにされてしまう。家に帰ればひとりぼっちで、亡き妻の面影が脳裏をよぎる。孤独に耐えられなくなったオーヴェェは自宅で首吊りをはかるが、そんな時に向かいのテラスハウスに越してきたパルヴァネ一家の車がオーヴェェの自宅の郵便受けにぶつかってしまう。自殺どころでなくなってしまったオーヴェェは外に飛び出し、烈火のごとくパルヴァネ一家を叱りつけつつも、駐車がままならない一家を見かねて、自分で勝手に車を停めてしまうのだった。翌日、迷惑をかけたと思ったパルヴァネが、お詫びのペルシャ料理を届けに来る。生き方も考え方も異なる二人だったが、この美味しい手料理をきっかけに思いがけず親交を深めていく。オーヴェェの頑固ぶりは相変わらずではあるが、パルヴァネに車の運転を教えたり、近所同士、助け合う日々の中でオーヴェェの心が溶きほぐされていく。そんなオーヴェには実は、運命を変えた衝撃的な事件があったのだった・・・(幸せなひとりぼっち | シネマカリテ

感想(ネタバレあり)

あらずじにあるように、妻サーニャを亡くして落ち込む独り身のオーヴェというおじさんと個性豊かな隣人たちとの話です。彼は所謂頑固者でとっつきにくく、妻を亡くした直後に長年勤めた仕事までクビになってしまい、自殺を図るほど落ち込みます。しかし、自殺を図ろうとする度に計らずも隣人たちに邪魔され、怒りながらも次第に周囲と打ち解けていく…この様子が非常に微笑ましいです。

この映画で一番好きなのは、オーヴェとサーニャの出会いの場面。オーヴェが火事で家を失ってしまい、寝床がないため停車中の電車で寝るのですが、気づくといつの間にやら電車は出発しちゃっています。オーヴェが寝ていたボックスシートの向かいに座っていたのがサーニャ。サーニャの引き込まれるような青い目がとても綺麗で、これは一目惚れするのも頷けます笑。

ストーリーの合間には、若かりし頃のオーヴェの回想シーンがあり、サーニャとのなれ初めだったり、何故今のように頑固になったのかが明らかになります。涙が我慢できないようなシーンも多いのですが、ときにユーモラスな笑いが織り交ぜられており、緊張しすぎて疲れてしまうようなことなく最後まですーっと観れます。

また、この作品ではオーヴェ役のRolf Lassgårdを始めとする俳優の演技が素晴らしいのはもちろん、猫が非常にいい演技(?)をしています笑。調べてみるとポーランド生まれの2匹のラグドールだそうで、名前はMagicとOrlandoらしいです。前々から抱いていた猫を飼いたいという気持ちがさらに強まってしまいました…。

参考:Rolf Lassgård | Wikipediaトリビア | IMDb

サーヴ?スウェーデン車?

この作品はスウェーデン映画で、スウェーデン車を含めたヨーロッパの車が話に出てきますので、頭の片隅に入れておくと話がより理解できるのではないかと思います。

まず、主人公のオーヴェが乗っている車はサーヴ、主人公と対立していたルネが乗っていたのはVOLVOです。サーヴとVOLVOはどちらもスウェーデン車で、VOLVOは日本人にも馴染みがありますね。

ルネが後年買うのはドイツ車のBMW。ただでさえVOLVO好きのルネをよく思わないオーヴェでしたが、ルネがとうとうスウェーデン車でなくドイツ車を買ったことで、二人の間には決定的な溝ができます笑。

ちなみに、主人公の妻サーニャの元生徒が買いたいと言ってたのはフランス車のルノーです。

ちなみにちなみに、Audiのことは「”0(ぜろ)”が4つ並んだやつ」と酷評してました笑。サーヴ命のオーヴェなのでした。

2017年ベストの予感

2015年に映画館で観た作品では、”アバウトタイム“が個人的に断トツの一番で、内容としては”幸せなひとりぼっち”と同じく感涙ものでした。”アバウトタイム”のような雰囲気の作品が好きな方であれば、この”幸せなひとりぼっち”も間違いなく気に入るはずです。